激闘 人生あと一ヶ月 親父とのラストラン その13
とにかく、病状の進行が早いのは明確だった。
この病院の対応のまずさと、親父がまだ病気のことを受け入れ切れていないこと。
このままでは、看病する側もしくは家族が周りに振り回されてしまうのである。どのように打開していくべきか。
とにかく、どこまで環境が改善するかわからないが、ホスピスへの転院を真剣に検討しないと、私たちも疲れてしまう。
冷たいものが常に多くの種類置いておいてほしいと父が言うので、あっさりしたフルーツ類を食べられるように、小型冷蔵庫を病室に置いたり、できるだけ快適に過ごせるように屋上に車椅子で連れ出す回数を増やしたりして環境を変えるんだけども、ぜんぜん病状は改善しない。
なので、親父には病院名を具体的に示して、パソコンでホスピスのある病院のページを見せたり、必死に説得をするのだが、なかなか了解しようとしない。
そして、ある日、家につれて帰る提案を親父にしたのだけども、親父も家に帰りたいとのことだった。ただ、家にはベットがないので帰られないとも話していたし、今の状態で家につれて帰っても自殺行為に近いものがある。医者の往診が必要になるからだ。この病院はどこまでケアをしてくれるのだろうかと、聞きたいのだけど、ぜんぜん医者はそういう話をしない。
そして、週明けに約束のレントゲンの撮影があった。その直後、医者より呼び出しがあった。
医者 あのー呼び出しさせていただいたのは、お父様の病状の進行が早いことがわかったので報告します。今のタイミングを逃せばもう、家につれて帰ることはできませんよ。なので、本人さんに、最期の選択をしていただくことになると思います。
高山 ホスピスへの転院は可能ですか?
医師 こちらでも、ホスピスに移れるかどうか病院をあたってみます。では、今日中に本人さんに話をしましょうか。
高山 よろしくお願いします。
そして、親父を連れてカンファランスルームで話し合いとなった。
医師 高山さん。病状の進行が早く抗がん剤治療もできなくなる数値まで進行してしまいました。今後は家に帰っていただいて結構ですから、この病院で治療を継続していく方針にしますか。
親父 はい。
医師 息子さんはホスピスを希望されているけど、この病院で継続されるんですね。
親父 はい。病院を移るのはいいですよ。
医師 では、家に帰られるようにしましょうか。
高山 じゃぁ、親父家に帰ろうな。それで先生、家に帰るのにはベットとか往診が必要になりますけど、ベットの貸し出しの手続きとか、往診していただける医師のご紹介はあるんですか?
医師 そうですね、ホスピスで相談していただくほうがいいかもしれませんね。じゃぁ、ホスピス転院ということで話を進めましょうか。
高山 ありがとうございます。
このときまさか父が、家の近くの病院に残るというとは思わなかったが、とにかく、ここにいてもただ、苦しんでなくなるだけなので、少し改善できるだけでもいいので、ホスピスへの転院へとこの瞬間から動きが変わったのである。
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