激闘 人生あと一ヶ月 親父とのラストラン その4

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 入院二日目。親父は息苦しさを訴えることはなくなったが、苦しそうにベットで眠っていた。多分、胃が苦しいのだろうと思っていたし、多少の痛みもあるのだろうと、は思っていた。そこで、親父に「もしかして、痛くないか?」と尋ねてみたら。「ウン」と頭を縦に振った。どのように痛いかと聞いたら、たまにズキンと痛みがくるという表現だった。痛いときは看護婦に頼んで痛み止めを打ってもらっているともいっていた。さて、この痛みどれぐらいいたいのかわからないなぁと思っていたらある看護婦が「10のうち痛みはどれぐらい?」と聞くと「8」と返事が返ってきた。これは、痛み止めを打ったあとでの痛みの数値だった。

 普段から痛いとか苦しいなんてほとんど口にしない父。どう苦しんでどう痛いのかなんてさっぱりわからないし。困ったものだ。

 ただ、痛み止めはボルタレンという手術後に使われる痛み止めと一緒。風邪の解熱剤としても使われているものだけど、こんなもので痛みがとれるのかという疑問が付きまとった。

 そして、医師から再び呼び出しがかかった。

医師 お父さんの病状ですがCT、レントゲン、内視鏡で状況がわかりました。
高山 どのような状況ですが
医師 内視鏡の写真を見てください。胃の中には無数のただれた部分ができています。正常な細胞はごくわずかの状態です。腫瘍も複数見られます。そして、爛れた部分からは出血も見られます。以前から血便が出ていたはずです。なので、食べ物も通りにくい状態です。もう少しすると、胃の食道に近い部分の腫瘍が腫れて物が通らなくなることが考えられます。
高山 では、抗がん剤も、手術も無理なのですね。
医師 無理でしょうね。内視鏡で細胞を抽出して検査機関に提出しますが、末期がんととらえていただいて結構です。そして、転院先も連絡しましたところ、N市CHU病院で受け入れが決まりました。
高山 そうですが。
医師 では、転院は祝日を挟んだ3日後となります。了解いただけますか?
高山 了解しました。それと、ホスピスに転院を考えているんですが、A市S病院に転院は不可能ですが?
医師 すみません。転院先を決定してしまった以上。変更することはできません。
高山 では、転院する際の紹介状に家族はホスピスを希望していると記述してもらえますか?
医師 わかりました、では記述しましょう。
高山 告知はどのようにしますか?
医師 これは、この段階ではせずに、転院先の医師に任せましょう。本人には胃潰瘍と伝えておきます。
高山 それと、もうひとつお願いがあります。
医師 なんでしょ。
高山 この病棟は麻酔科もあるんですよね。この病院の麻酔科は評価が高いことを知っています。親父の痛みをしっかりとってやってもらえますか。
医師 そうですか。本人さんは痛みがきついんですね。では、処置をします。

 あとになってわかることだが、この段階で病名を告知しなかったことと、ホスピスのある病院に転院の決断をしなかったことは、今後の闘病生活で相当な問題を作ってしまうことになる。

 その後、病室に戻り親父に家の近所の病院に転院することを話したが、ずっと苦しそうなままだった。その後看護婦が痛み止めの点滴を持って親父のベットまでやってきた。

「高山さん新しい点滴入れますね」

 私も、どの程度痛みが取れるのかが疑問だったが、緩和ケアの基本は痛みをとることのはず。一度、どこまで本人が元気になるか注目の部分だった。そうすると、点滴後親父は少し楽になったらしく、体を右に左に、動かしだした。
もしかしてと思い

「親父。この病院の最上階には喫茶店があるんだよ。いってみないか?」

 点滴前にはベットから離れることをかたくなに拒んでいた父だったが二時間後に車椅子で移動しようという言葉に反応した。そして、「看護婦さん、車椅子貸して!!」というお願いをして車椅子を持ってきたところ早速車椅子に乗り移って喫茶店まで連れて行くことが可能になった。

 要は動きたくないぐらい痛みがきつかったのだ。

 当然痛み止めはモルヒネであることは承知ずみだが、苦しいまま放置され続けることは親父にとっても、看病する側もいいことがあまりない。痛みさえ取れれば親父のしたいことをさせてやれるんなら、ちょっとは希望があると、このとき感じた出来事であった。

第5話につづくcoming soon)

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このページは、takayamakeが2008年11月 9日 00:00に書いたブログ記事です。

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