アトピー短編小説 アトピーとゲイ 第一話

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5月17日が「国際反ホモフォビアの日」だったそうです。

ホモフォビアとは、
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の
人権問題を考える上で障害になる、
社会の中に蔓延するLGBTへの嫌悪感や恐怖感のこと」。
Act Against Homophobiaより)だそうです。

「国際反ホモフォビアの日」にちなみ遅ればせながら、1998年より高山家ホームページで掲載していた、あるアトピー患者さんの手記である、アトピーとゲイについてを再掲しようと思います。

 18才の時、私の初めての恋人になった彼女に、アトピーであることを告白して、泣いた。その後、彼女と肉体関係を持とうとするが、だめなのである。私の心には偽りがあった。私は子供の時から自分が男にしか興味がないとうすうす気付いていた。そして女と関係を持てば、そのようなことは忘れられると思っていた。彼女のことを愛していた。毎日、きつく抱きしめたが、具体的な男と女の交わりはできなかった。一年半後、彼女は他に好きな男がいると告白したが、別に私は怒らなかった。彼女が女として感じたかったのは当然のことだからだ。私の方にも、いつも偽りがあった。やはり男しか愛せない。そして別れた。その後しばらくして、私はゲイ雑誌を買って、ゲイが集まるところに出入りするようになった。同世代のゲイの男の子は、美男子が多かった。美しい顔立ちと、美しい肉体を見せつけられた私はコンプレックスに陥った。私は美男子ではないし、しかもアトピーだった。

 日本のゲイとゲイの関係は、肉体関係が主である。たとえば、どこかで視線が合い、手を握り、キスをして、ベッドで交わり、タバコをふかしてから下の名前を教え合うという順序なのだ。いわゆるアバンチュールがほとんどである。深い愛情に落ちていく人たちもいるが、極めて少数だ。私は、もてなかった。それにゲイの世界で何がしたいのかもわからなかった。私は昨年までステロイドを使用していた。劇的に良くなる数日間、ゲイが集まる所にいって、みだらな事をした。そしてまたアトピーがひどくなり、引きこもるということを繰り返してきた。自問自答するのだ。私はみだらなことがしたいのか、それとも、わかりあえる人がほしいのか。人をわかりあえるまでには時間がかかる。その間にアトピーがひどくなり結局、臆病になる。底なしの臆病さと卑屈さ。どうして私はアトピーなのだ。どうして美男子ではない。アトピーの人間を抱けるか、などと言うと多くの人がうんざり顔をするだろう。健康な人だって幸せだとは限らないということぐらい、私は知っている。それに、幸せとは何だ。

 私は目ぶたを整形した。いい男になりたかったからだ。大学の女の子たちは僕のしたことに好意的であった。男たちは沈黙を保った。両親は、何も言わないどころか、気がついてもないようだ。私は核家族で、今どきの冷めた関係だ。親に何かを相談したことはない。悩みをうちあけたこともない。もちろんゲイだということも。今、両親が死んでもべつに悲しくないだろう。私は中学生の時、アトピーのことでいじめを受けたこともあった。そして当時のある夜、背中に塗り薬を塗ってもらうことを母親に頼んだら、手がベタベタするから、嫌だと答えた。ショックだった。両目を大きくひらいて、今、何が起きたのかわからなかった。二階に上がって怒りがこみあげ、母親のふとんを蹴りとばしていた時、父親が仕事から帰ってきた。私はビンタをくらって、話し合おうよと一言つぶやいた。べつにこのことだけから、私は両親と距離をおいているのではない。もうひとつ、強烈なエピソードを書いて、両親のことは書くのをやめる。小学生の時だった。父が私に、今夜お寿司をみんなで食べに行こうと言った時、幼少の私は、ああ、今夜で3人とも死ぬんだなと思った。

第二話は近日公開

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このブログ記事について

このページは、takayamakeが2006年5月20日 21:41に書いたブログ記事です。

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