医師から見た民間療法情報

| | コメント(0) | トラックバック(0)

目次


このページは高山家の考えに賛同され投稿下さったお医者さんからの民間療法情報ページです。



「先生、知人がこういう物を勧めてくれたのですが...少し高価なので迷っているのですが如何なものでしょう。」と言って彼は私にきれいに印刷されたパンフレットを差し出す。そこには「アトピー性皮膚炎に朗報。○○エキスの驚異的効果。××博士も絶賛」とある。「うーん」私は腕を組む。

○○エキスなど私は聞いたこともない。私は皮膚科医で学会や医学雑誌にはそれなりに目を通し日頃から情報収集には心がけている積もりである。こういったいわゆる民間療法の類は私達医師の目をうまくすり抜けて患者に忍び寄っている様にも見える。

「僕は○○エキスというのはよく知らないけどこういうのはいい加減な物が多いと思うよ」「先生知らないんですか?この間テレビでもやっていましたよ」側にいた看護婦までもがあの番組は私も観たと言い出し患者と話しが弾み出す。こういった風景は最近あちこちの皮膚科の診察室で見られるのではないだろうか。

私は患者からこのような問い合わせを受けた場合には、その場では答えず、その商品の製造または販売元へ次の様な文面の手紙を書くことにした。 

「謹啓時下益々御清栄の段大慶に存じます。さて近年アトピー性皮膚炎に良いとして、様々な健康食品・スキンケア用品・環境対策商品などが出回っており、患者さんから私共皮膚科医の元に問い合わせを受けることがあります。しかしこれら商品の多くは、開発・使用調査等に当たって医師や公的機関による有効性の評価を受けることなく流通することが多いので、私共皮膚科医としてもその有効性についてのコメントを求められても困ることが多いです。そこで私共ではこのような問い合わせを受けた場合には、まず製造または販売元へアトピー性皮膚炎に有用であるとするならば、その理論的根拠、開発の経緯、使用調査はどのような形で行われその結果はどうであったか、などについての情報提供を求めることとしております。お手数ですが資料御送付下さいますようお願いいたします。提供いただいた資料は患者への説明材料とさせて頂きます。敬具」

約一年程前からこのような問い合わせを繰り返しており、色々と興味深い事実が浮かび上がってきた。私なりに考えた事も併せて社会に報告したいと考え筆を執った次第である。



シソの葉エキス-アミノアップ化学の戦略

シソの葉エキスについて問い合わせたところ、アミノアップ化学社からは会社案内まで含めたかなり多量の資料と製品見本が送られてきた。前述の問い合わせをした場合のメーカーの対応は色々だが、大きく分けると積極的な売り込みと防衛的姿勢の二つに分かれる。アミノアップ社は前者のように感じた(これは悪いことではない)。会社案内を見てよく分かったのだが、この会社は市場性のありそうな「役に立つ」新物質を検索開発し製品として販売することを専門に手がけている会社で、その中でこのシソの葉エキスがヒットした様である。引っかかった「有用物質」は基礎共同研究に回される。平たく言えば大学の先生等に依頼してお墨付きをもらう訳である。シソの葉エキスの場合は帝京大学薬学部の山崎正利氏が関わっている。彼はマウスの実験でシソの葉エキスがTNFというサイトカインの産生を抑えることを見出し学術雑誌に報告した。ここまでは医薬品を開発する製薬会社と変わりはない。

問題はここからである。シソの葉エキスは健康食品として売り出されるための戦略に回される。「健康食品」というのも不思議な概念だと思うが(筆者は健康な人が食すべき食品と理解している)、とにかく食品衛生法の基準をパスして市場に出る訳である。TNF産生に関わる事象を更に検討して医薬品として開発を進めようとしてではなく。

一般向けのパンフレットには「毎日の健康な体つくりをお手伝いします」と記されており薬事法に触れるような表現はない。これをどう考えるか?医薬品として一つの薬を世に出すためには約十年という期間と百億とも言われる投資が必要だそうである。大手製薬会社ならばともかく、そんなリスクの多いことは荷が重い。だからまずは食品として社会に提供するしかない。好意的に考えればそういうことだろう。しかし懐疑的に考えればTNF産生を抑制するような薬理作用をもった物質を、医薬品のような厳密な安全性チェックや臨床試験抜きで世に出してしまうことでもある。

健康食品として売り出された後もマウスを使った基礎データは薬事法すれすれの形でしばしば暗示される。そして世間ではいつの間にか「シソがアトピーに良い」という話として広まってしまう。実際にはマウスの実験的炎症が抑制されることが示唆されたに過ぎないのだが。最近ではスキンケア用の保湿剤にシソの葉エキスが入れられたり、入浴剤に混ぜられたりもする。



サン・クロレラ-「著効例」の活用

新聞を取っている人でサン・クロレラの折り込み広告を見たことの無い人はいないのでは無いだろうか?そこには様々な難病がクロレラによって回復した事例が色々と記されている。健康人は大して気にも留めない事だろう。しかし病院に通ってもはかばかしくなく、現代医療に失望しかけている人にとっては目を引くもののようだ。

アトピーもしばしば登場する。「クロレラを飲んで長年悩まされてきたアトピーが治りました。本当に感謝しています。」と「匿名希望」の元患者は言う。

これが嘘であったら話は終わってしまうので真実の投書であったと仮定して話を進める。重要なのはアトピー性皮膚炎は元来一定の割合で自然治癒していく病気だということである。最近は成人になっても治らないケースや成人になってから発症するケースが問題になってきているが、特に幼小児期のアトピーはうまくつきあっていけばいつの間にか治ってしまうケースはまだまだ多い。あるアトピーの患者が治癒傾向を示しその患者がクロレラを飲んでいたからといって、それはクロレラが有効であったことの証明にはならない。これは少し考えれば当たり前の事なのだが、実際に「この患者は治りました」と示されると患者は動揺する。

アトピーの様な一定の割合で自然治癒傾向を示す疾患においてある治療の有効性を示すには、最低数十人位ずつの患者のグループを二つ作り、一方を治療群、他方を対照群として治癒していく率がどの程度促進されたかで判定しなければならない。

「著効例提示」のテクニックは他の療法でもしばしば用いられる。パインハイセンスという薬用入浴剤(医薬部外品)がありひまわりという小冊子を発行しているが、ここでも写真入りで奏功例が紹介されている。この会社からの回答はこうである。「実際に使用された方々がそれぞれの経験からそれぞれの方の判断の中で体験談として御紹介している例はありますがそれらはあくまで使用された方々の経験に基くもので理論的根拠はありません」正直な回答だと思う。サン・クロレラからは回答が来なかったのに比べれば誠意がある。小冊子に登場している患者も写真を提供している位だから良いと感じたのだろう。

入浴剤についてはもう一つトリックがある。アトピー性皮膚炎の患者は皮疹がひどくなると滲みて痛いため入浴を避ける事が多い。すると皮表にブドウ球菌という雑菌が湧く。これがまたアトピーを悪化させるという悪循環に陥る。入浴剤を勧めることは入浴=皮膚の清潔の保持を勧めることでもあり、それだけである程度有効なことも多い。

入浴後は汚れが落ちると同時に皮脂も落ちてしまうため保湿剤などで油を補給する。これをスキンケアという。分かりやすく言えば新車の洗車ワックスがけのようなことである。アトピー患者が行うべき基本作業であり、従って殆どの入浴剤や保湿剤(化粧品会社が販売している)はスキンケアの動機付けの意味でそれなりの効果を示すことが多い。

日本オムバスという温泉の宅配による治療を勧めていることで我々アトピーに関わっている医師の間では有名な会社がある。経営者の小川秀夫という人はステロイドの使い過ぎ・頼り過ぎによる副作用に早くから気付き警告してきた一人でその意味では尊敬に値すると私は思う。しかし日本オムバス自体は我々皮膚科医の間では必ずしも評判は良くない。それは脱ステロイド療法がいけないということではなく、温泉宅配にかかる費用が高い点にある。

前述したように温泉治療自体はスキンケアの一法として正しく指導されれば決して悪いことではない。皮膚病の治療としては歴史が古い。大正時代の皮膚科雑誌に既にその効用についての論文がある。

スキンケアはアトピーの基本であるので、継続して延々と続ける必要がある。そのうちに体内の自然治癒機転が働いて(アトピーは元来自然治癒傾向を持った病気である)治るのを待とうという事なので、如何に安価に無理なく行うかは大きなポイントである。大手化粧品会社もこぞってアトピー用のスキンケア製品を販売する傾向にあるが、どうしても高価になる。スキンケア関係については(期待される効果)/(費用)を常に念頭に置いて考えなければならない。



ミキプルーン-営業担当者の勇み足

大阪の三基商事という会社が出している健康食品である。問い合わせたところ名古屋の営業担当という婦人から電話がかかってきた。「私共はお医者様ではありませんので病気に良い悪いということは申し上げかねますが、お客様の中で良いと言われた方の声をお伝えすることはあるかも知れないのですが...」

後日食品成分分析表が届いた。あくまで食品であるとの事なのだろう。しかし私の患者は確かに「アトピーに良い」と勧められて購入したそうである。先日愛知アレルギーネットワークの機関誌を読んでいたら質問コーナーに全く同じ投書があった。パンフレットの表現の中に「アトピーに良い」と記載されていなくても実際に販売に携わっている人がどうも口頭でそう説明しているようだ。

似たケースはプロポリスで経験した。加藤美蜂園本舗という会社からの回答は私を感心させた。「弊社ではプロポリス製品の製造販売にあたり念頭に置いていることの一つとして(中略)あくまで食品として販売するものであるから各種疾患に対する薬理作用・効能が宣伝・説明は一切行わないことを徹底しております。ですから営業者からアトピー性皮膚炎への有効性を口にすることはないと思われますが(後略)」私がこの問い合わせを始めてから一番納得できた回答である。外用に試みて炎症を引き起こした報告があることも調べて教えてくれた。このような企業としての真面目な対応こそが貴重である。

ただし私が気に入ったのはあくまで回答文であって、実際にプロポリスの営業者がアトピーに良いと本当に宣伝していないかは別問題である。営業姿勢への更なる徹底指導が望まれる。

営業者がアトピーを引き合いに出す理由の一つには、彼等がアトピーを気軽に考えすぎているのではないかと思われる節がある。栄研産業という会社の出している石鹸に「アトピーやニキビに」と書いてあったので私に尋ねてきた患者がいた。問い合わせたところ石鹸としての成分分析表を送ってきた。これなどはアトピーをちょっとしたニキビやかぶれと同列に考えていたのではないかと思われる。問い合わせにはさぞかし驚いた事だろう。 
最近は何か皮疹が生じるとすぐアトピーではないかと考える風潮がある。アトピーは一般用語と化しつつある。しかし成人アトピーの患者達が抱える問題は非常に深刻であり、彼等の気持ちを代弁してアトピーという言葉をあまり気軽に使って欲しくないと訴えたい。彼等にとっては情報の混乱以外の何物でもないからである。 




シジユウム-マスコミの計り知れない影響

平成七年十二月二十四日の東京新聞に「アトピー性皮膚炎-抑制成分発見」という見出しの記事が載った。これは目を引く。見るとシジユウムという聞き慣れない植物の葉のエキスの話の様である。

発売元のOS工業に問い合わせた所少し意外な返事がきた。「私共は日本大学に研究を依頼したものではなく、あくまで素材を提供させて頂いたのみで、日本大学及び駿河台病院へ研究用及び臨床用として提供してきました(中略)今の所公開出来ますデーターについてのみ資料とさせて頂きました(後略)」シジユウムの入浴剤やシジユウム茶は既に販売されている。素直に読むと、これに薬効があるのではないかと注目した薬学の先生や皮膚科の医師が研究もしくは臨床使用したいというので提供したということになる。要するに現在薬効があるかないかを検討中なのである。

先程の新聞記事も落ち着いてよく読むとそういう趣旨の事なのだが、見出しから患者が受け取る印象はそうならない。とうとう待ち望んだアトピー完全治癒の特効薬が出現したのだろうか。患者達は新聞の切り抜きを持って各自の主治医の元に走る。私の所にも何名か来た。そして私がシジユウムという発音しにくい言葉を怪訝な顔で問い直すのを見て、新聞に出るような話も知らないような医者にかかっていることに少し不安を抱く。このパターンは年に二、三回繰り返される。



NiwanaEX-医師が開発した健康食品

高知の土佐清水市に丹羽靭負氏という医師がいて独特な治療を行うので有名である。彼が開発したSOD様物質という食品があり名古屋ではNiwana-EX、関西ではNIWA-SODとして売られている。

少し専門的な話になるが、「活性酸素」という言葉を聞いたことがあるだろうか?先日自宅近くのうどん屋でうどんをすすっていたら、後ろの席のおじさんが活性酸素の話を始めたので思わず噴きこぼしそうになった。アトピーという言葉同様かなり一般化しつつあるらしい。

アトピーに限らず脳卒中や癌など様々な病態で活性酸素が炎症の過程で関与しているらしいことはもう十年以上前から分かってきていた。SODというのはこの活性酸素を消去する酵素の事である。それならばこのSODを投与してやれば当然炎症が治まり病態の改善に働くに違いない。誰でもそう思う。

実際SODそのものが単離され、リウマチの患者への投与が試みられたこともあったようだ。しかしこれはあまり奏功しなかった。理由はこの酵素の代謝排泄が速いことや、肝心の炎症を起こしている箇所にSODがなかなか届いてくれないこと、炎症の成立には活性酸素のみが関わっている訳ではないため全体のバランスが崩れ、返って炎症が悪化する可能性さえあること、などが示唆されている。

それでも真面目な研究者等によって臨床応用は模索され続けている。しかし現在なお世に出るまでには至っていない。

ところが試験管の中で活性酸素を消去する事の出来る「SOD様活性」を示す物質はゴマンとあるらしい。リザベンという抗アレルギー薬にSOD様活性があるとした論文を見たことがあるし、アルカリイオン水にもこの作用があると聞いた。最近東北の方の大学の工学部の先生がSOD様活性を簡単に測定する機械を作ったそうで、ある健康飲料を販売している会社の社長さんが自社の商品を測定してもらったところ活性が高かったと喜んでみえた。

重要なのは試験管内での事象ではなく、それが確実に病態の改善に役立っていることの証明にある。

Niwana-EXについて問い合わせをしたところ丹羽医師からのコメントはなく、代わりに彼の論文が届いた。それはアトピー性皮膚炎の病態形成に活性酸素が関与することを示唆するものではあったが、Niwana-EXの臨床的な有効性を証明したものではなかった。

Niwana-EXのみならず今後「ある疾患には活性酸素が関与している」「○○という健康食品はSOD様活性がある」従って「○○という健康食品はこの疾患に効果がある」という論法は流布するかもしれない。医学用語が並んでいるのでついつい説得されてしまいがちである。慎重に判断しなければならない。



アトピー対策の家-ひばハウス

ついに究極とも言えるアトピー対策商品が出現した。パンフレットには堂々と「住環境の抜本改善-アトピー治療の万全対策、真剣に考えてみませんか」とある。

住環境対策は確かにアトピーにおいて重要な位置を占める。アルミサッシの普及以来家の気密化が進み結露しやすい構造となりカビ・ダニが増えアトピー患者も増加したとも言われる。

ひばハウスはヒノキチオールという天然の抗菌物質を含むヒバ材を多用した家作りの様で、無垢材の持つ吸放湿性をも考慮した確かに理にかなった家造りではある。

実は今建築業界では健康住宅が一つのトレンドである。高気密高断熱計画換気・エアサイクル・パッシブソーラー・化学物質排除の家造りなど、様々な建築工法が体に優しいことを訴え、しばしば結露・ダニ・カビ対策を売りにしている。そのような状況の中でひばハウスも登場した。

私は動揺して問い合わせというよりも本当にこんな広告を出して大丈夫ですか?といった内容の手紙を書いた。不動産なのでPL法にはかからないかも知れない。薬事法に触れるかどうかは見当がつかない。

住宅というのは高額な商品であるため、試用調査ということが不可能に近い。設計理念がいきなり流通する訳で、どんな思いがけないトラブルが生じるか分からない。

住環境対策商品について少し述べたい。筆者は名古屋で室内環境とアトピー性皮膚炎との関連を調査する研究会を率いている。そこでしばしば感じるのは、住環境というのは構造と住まい方とからなり、しばしば構造以上に住まい方に問題があるということである。

例えば気密性の高いマンションに住んでいる人がいる。暖房はどうしているだろうか?経済性を考え石油ファンヒーターを用いていたとしたら要注意である。燃焼式の暖房器具が水分を放出し、吸放湿性のない新建材の表面で結露し、ダニ・カビ発生の原因となっている可能性がある。実際我々の調査で塩化ビニルプリント合板の一見きれいなフローリングの床に予想外に多くのダニを認めたケースもある。

「畳の上に絨毯をひくのは良くない」というのは常識のように言われるが、これも必ずしもそうではない。畳の下が問題である。床下換気が十分にとれて、床板も隙間を持たせた昔風の家であれば、畳の上に絨毯を引いていてもさほどダニは多くないこともある。このように住環境というのは非常に個性が強い。

エアクリーナーについても患者にしばしば聞かれる。エアクリーナーは使用しようとする部屋のサイズに応じて選ぶ必要がある。そして当たり前の事だがエアクリーナーを有効に使用するためには部屋の気密性は高い方が良い。窓を開けて換気をしっかりしながらエアクリーナーを回していたのでは意味がない。エアクリーナーに限らず室内環境対策商品は使いようである。住まい方も含めたトータルな観点からアドバイスする事の出来る専門家の育成が望まれる。



以上これまでの問い合わせの中から思いつくままに書き述ってきた。読者に分かりやすいように実名を用いているので登場いただいた方々の中には不快感を覚える向きもあるかも知れない。しかし私はこのような会社・個人の努力には本心敬意を抱いている。 
アトピー対策の民間療法を編み出し世に問う方々には家族や近親者にアトピーで苦しんだ人が多いことを私は知っている。それらの患者あるいは家族達は、ステロイド外用剤の処方を繰り返し、ステロイド以外の治療法を希望すると怒り出す、まるでステロイド外用剤の製薬メーカーの前線部隊のような皮膚科医が多いのに失望している。

医師の中にはこれら民間療法の効果を検証しようとする医師を軽視する者もいる。彼等は医師は学者であるべきだと考え医学を数学や物理学の様な純粋学問と考えたがる。そして患者の血液を採取して実験室内に引きこもる。

私は医学は実学に属すると思う。家政学や経済学のような生活に密着した学問であり、マーケテイングが経済学で扱われるように、民間療法の検証も立派な医学の一部門であり、医師が真面目に取り組むべきだと考える。

そのために何よりも必要な事は医師が中立な立場から民間療法を評価出来るようなシステム作りである。シジユウムを日本大学や駿河台病院が如何に真面目に検討して有効性を評価しようとしても、そこには所詮民間の会社が売り出した商品のお墨付きではないかという疑念が付きまとう。何か裏で研究費の授受でもあるのではないか。アトピー性皮膚炎のような自然治癒傾向のある、症状が皮疹で数値化定量化しにくい疾患ではどうしてもそういう見方をする人が出る。Niwana-EXのような医師自身が開発した健康食品では尚更である。いくら症例を積み重ねても説得力は生じない。

この問題の解決のためには、療法開発者と評価者とを如何に分離するかが最大のポイントである。二者が直接接触するからいけないのである。間に学会や財団が介在して振り分けをするのが一番いい。日本消費者協会という財団法人があり独自に商品テストをした結果を機関誌に報告しているが、このような組織を民間療法に関して作ることは出来ないだろうか?ある治療法を考案した者が有償で財団に効果判定を依頼する。財団は賛同する各地の医師に評価作業を振り分ける。そうすれば医師は療法開発者に気兼ねすることなく自由に評価出来るし、特定の医師に評価が偏ることもない。二重盲検が可能なものは財団において管理すればより客観的な評価が生まれる。真摯な民間療法者であればこのようなシステムがあれば飛びつくに違いない。

このことをある研究会で提案したところ、さる高名な先生から「先生の言うことは正論だ。現実はそんなに簡単に動くものではない。」という賛成なのか反対なのかよく分からないお言葉を頂いた。そんなに難しい事ではないように思うのだが。

取りあえずこういった民間療法の類について情報・意見の交換をすることの出来る現場の皮膚科医同志でネットワークが出来ないかと考えている。本稿を読まれて賛同される方は御連絡下さい。

アトピー性皮膚炎は近年増えてきている。以前は遺伝的な体質によるものだとされていたが、それなら増えるはずはない。環境汚染か何か分からないが、何かを我々現代人に警告しているように見える。言ってみればアトピーの患者は選ばれた人類、アトピー戦士である。彼等の戦いを支援するためのアイテムを提供するのに労を惜しんではならない。


トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 医師から見た民間療法情報

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.atopy.org/mtsys/mt-tb.cgi/5

コメントする

このブログ記事について

このページは、takayamakeが1997年1月 1日 00:02に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「民間療法危険情報ページ」です。

次のブログ記事は「大衆用保湿剤情報の筆者の感想」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.292

高山家総目次


since 1996.10